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7月29日 金曜日

7月も終わり。
最近は、引きこもり中。
まぁ、そろそろ物理を辞めることを真剣に考えないとね。

先日、Sg-lで、KEKの大型シミュレーション研究が、あと一年で終わるとのアナウンスがあった。
予算の都合だそうだ。
実のところ、2年くらい前に、大型シミュレーション研究が削減の候補に入っているという噂を耳にしていたのだけど、もうちょっと何段階か踏んでそうなるのかと思っていたので、イキナリでびっくり。
まだ、委員会が意見を言う機会があるそうなので、私もすぐに意見書を委員に送っておいた。

意見書では、
(1) KEKの大型シミュは、Lattice QCDの分野で成果を上げてきたし、Lattice分野そのものが年々Lattice会議参加者も増え、拡大している分野である。
無くすのは時代に逆行している

(2) 「実験に直結した物理への計算機資源しか認めない」という考え方も、今では、純理論的な研究分野が国内外で盛り上がってきている時期で、日本は既に少なからずその分野で貢献しているので、それを無くすのは如何なものか

(3) 計算科学分野は、実験物理とある意味似ていて、細かいノウハウの蓄積や伝承が重要であり、一旦、この研究分野を潰すと、二度と世界と戦えなくなる懸念がある

と3点書いておきました。

細かいので書かなかったのは、(2)に関連して、「実験に直結した計算(物理点のパラメータでの計算)」というのは、Lattice QCDの分野ではもう日本は世界トップの5-10年くらい遅れてしまっているのだよね。
ゼロ温度でも、有限温度でも。今更、そっちに力を入れてももう遅いかと。取り戻すのにはまた10年とかかかって、やってる間に「成果が少ない」という判断で完全に計算科学分野がなくなるんじゃないかという恐れが…。
一方で、方法論とか理論的な分野では日本はまだまだ戦えていて、いい仕事が結構ある。
むしろ、そっちに舵を切ったほうが良いと思われるのだけどね。

そして、今の大型シミュレーション研究では、年間(多分)数千万円の予算を、高々十数人に使っている&その結果が、他の分野にフィードバックされていない、周知されていない。
予算申請&審査のプロセスが、ほぼクローズドで、申請結果や審査基準等公開されない。
(一回要求したけど、黒塗りの書類が出てきた…。この段階で、「この分野終わるな…」と思ったんだけどね。)
という、問題点があるのも事実で、このままでは素粒子・原子核・宇宙分野のコミュニティのサポートも得られそうにないし、やり玉に揚げられても仕方ないかな、という感じですかね。
ということで、それらの改善策案も書いておいた。

まぁ、個人的にはもう物理辞めるかもだし、今年はほぼ申請してないし。
色々、不満等も溜まっていて、一回潰れても仕方ないかな、と思うのが個人的な本音。
(意見書ではもちろん、そんなこと書かなかったけど…)
他の計算機(基研、RCNP,九大)も使っているけど、KEKの運営は
「計算機を使わせてやってる感」
が凄くて、サポートを頼んでも大体
「そんな事は出来ない」
で終わり、だったしね。。。
(私が言われたわけではないけど、「うちはこれで30年やってるんだ!」という名言も。)
高々10名ちょっとしかいないユーザーの中にも、そんなふうに思う人がいるんだから、幅広いサポートが得られないのは、目に見えてるかなぁ。

それにしても、運営サイドが無反応なのも、何だかなぁ。
私が運営にいたら、即刻、ユーザーのメーリスに
「皆さんの意見を委員に送ってください」
くらいの事は言うけどね…。
大型シミュレーション研究がなくなっても自分の給料は変わらず仕事が減ってラッキー、くらいな感じなのかな。
さすがに、穿ち過ぎと思いたいけど…。

教訓は、一部の人の利益にしかなっていない研究は潰されがち、って事ですな。
色々残念としか言いようが無いし、これまで数々の問題点に気づいていながら、運営サイドを動かすほどの説得力を持って意見できなかった自分も反省すべきですかね。
あまりに酷いので、「なんじゃこりゃ」と思って、怒って意見してきたからなぁ。怒りで人は動かせないとやっと学んだよ。
ただ、まぁ、お取り潰しされるような酷さだったんだ、という事も納得。
日本の格子分野はこれで衰退していくのかな。
by Lattician | 2016-07-29 13:33


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